目尻切開の施術の注意点を美容外科医が詳しく解説
目尻切開の手術は簡単なものではありません。大手美容外科院長時代に数多くの施術を行い、その中で培ってきた細かなこだわりを持ってやっているからこそ仕上がりが美しくなるのです。
今回は、それぞれの適応や僕のこだわりを初学者に向けての施術の注意点などをまとめていきます。
ABOUT
目尻切開とは
- 適応
- 注意点、こだわり
目尻切開の適応となる方は、
①目の横幅が短いから大きくしたい(25mmが目安)
②切れ長の目にしたい
③寄り目感をなくしたい
などです。
すでに目が大きい方でもさらに白目を大きく見せたいなどの要望があれば施術も可能です。実際は目尻切開のみでは変化は乏しいことが多いので、タレ目形成と併用すると縦にも目幅が広がり白目がより大きく見え、効果的です。
施術のこだわりポイント
施術をする際のこだわりと、初学者に向けて目尻切開を行う上でのよくあるピットフォールを説明します。
1 牽引糸をかけた際にかけたところが出血する
2 結膜が麻酔で浮腫んで視野展開が困難
3 縫い代がなくなって粘膜を無理やり持ってくるために水掻きみたいな目尻になっている
4 目じりにドッグイヤー(段差)ができて綺麗なラインになっていない
5 後戻りする
1 術中は視野を確保するため、5-0ナイロンという糸を使って上下の眼瞼を牽引します。
この糸をかける位置を間違うと出血し術野の確保や術後のダウンタイムに影響します。
ポイントは、グレイラインと呼ばれる位置があり、それを超えないように牽引糸をかけることです。数ミリ以下の糸をかける場所が違うだけで予後が変わりうるのです。
2 麻酔を打つ場所がキーです。結膜側に打ちすぎると浮腫んで視野が悪くなります。
僕の場合は皮膚側に適切な量の麻酔を打ち、指で馴染ませることで麻酔を浸透させています。これにより痛みもなく視野も確保できて快適に手術が行えます。
3 よくあるのが結膜側を切りすぎてしまって縫い代がなくなることです。
縫い代がないために無理やり結膜側の粘膜を持ってくることが原因です。適切な場所を切開しないと水掻きのような目尻が出来上がってしまいます。
4 大抵目尻の延長距離が長いとグレイラインにドッグイヤーと呼ばれる段差ができます。
かなり小さなものなのでよく見ないとわかりませんが、ここを気にするかどうかで仕上がりが大きく変わります。僕は電気メスかキルナー剪刀を使って段差を均す作業を行なっています。
5 これもよくあります。ただ目尻を切っているだけだと後戻りします。
僕の場合は眼窩の骨近くまで電気メスで内部操作と靭帯解除を行います。
糸をかける際も骨膜を拾うようにしているので後戻りが少ないです。